ぷちゴミ屋敷で育ち、片付けができるようになるまで

先日、父が家で倒れて動けなくなっており、救急車で病院に搬送されて緊急入院するという事態があり、バタバタしていました。入院中の様子から、退院後は元通りの生活とはいかないだろうと予想され、父が帰るまでに父の家を整理しておく必要が生じました。

 

父の家は、カオス状態で、片付けるというのは大変な作業なのです。

私の育った実家は、足の踏み場がなく、ちょっとしたゴミ屋敷のような家でした。父も母も、そして育ての親である祖母もみーーんな片付けが苦手で、いつもとっちらかっていて、物を踏まずに歩けるような床はほとんどありませんでした。

庭の植物も誰も手入れをしなかったので、ちょっとしたジャングルみたいな雰囲気が漂っていました。子どもの時にスイカを庭で食べ、種をぷっと庭の土の上に吹いたところ、ある日庭にスイカがなって転がっていて驚いたことがありました。庭にスイカがなっていても、誰も気付かない、そんな家でした。

 

私も片付けはとても苦手で、小学校の成績表は「身の回りを整理整頓できる」の項目はいつも「もう少し頑張りましょう」という最低評価をもらっていました。

何故か姉だけは整理整頓が得意で、中学生になり1人部屋をゲットすると、姉の部屋だけピカーンといつも綺麗で、姉の部屋と自分の部屋を見比べて「片付けができないって遺伝だけじゃないんだな。でも私はどうにも片付けは苦手だ」と思っていました。

 

そんな私も、今ではある程度は整理整頓して、床に物が落ちていない暮らしを実現しています。ここに至るには多くの人からの教えが必須でした。

トキメキで片付けを教えてくれるコンマリさんの本は続編も含めもちろん読んだし、断捨離の本も何冊か読みました。

でも一番の師は、一緒に暮らした人たちでした。18歳で大学に入って一人暮らしを始めてから、付き合っている人と一緒に住んだり、友達たちとルームシェアをしたりして、これまで家族以外の合計10人の人と生活をしたことがあります。ゴミ屋敷でしか暮らしたことがなくても、”物をしまう場所を決めてそこに戻す”といった基本のキを一緒に住んでいる人から教えてもらい、少しずつそういったことができるようになりました。

 

一緒に住んだ友達だけでなく、一般常識が欠けていた私に、多くの友人達が生活に関する基本を教えてくれました。同じ服ばかり着ているのを見かねて、一日かけて洋服屋を回って、服を選んでくれた友人も何人かいます。食事の時のマナーを教えてくれた友人もいます。愛情を与えてくれるという点以外(これが一番大切なことのようにも思いますが)、親としての役割を果たすのが難しい父に育てられた私にとって、そうした学びは他に代えがたいものでした。

今思い返すと、一緒に住んでくれた人たちは気付かないうちに、たくさんの家事をやっていてくれたのだろうと思います。本当にありがとう。

 

そんな風に、段々と片付けを身につけてきた私ですが、杏奈さんはちょっと別次元にいます。杏奈は片づけが得意で、引っ越しの際に物を段ボールに詰めるバイトをしたことがあるそうです。(私は片付けが苦手なので、引っ越しの際に物を詰める人に来てもらったことが何度かあります。)

コンマリさんのNetflixを見ていたら、「そんなの見たって無駄!」と言われ、確かに杏奈みたいな人はこういう番組を見る必要ないよな~と思い、コンマリさんの番組は杏奈がいないときにこっそり見るようにしています。(片付けが苦手な人が、努力して少しずつ変わっていく様子に私は感動するのです)

 

一緒に住みだしてから、家のあちこちの棚がびっくりするくらいきれいに整理整頓されました。父の家も、私1人では2か月くらいかかりそうなレベルまで2-3日で大分整理してくれました。

 

あんまり片付けが上手で、魔法みたいに部屋がみるみるキレイになっていくので、「そうだ!今度のブログは”魔法使いの杏奈”ってタイトルで片付けのことを書こう」と言ったら、「あのね、これは魔法じゃないの。魔法みたいに呪文唱えればきれいなったらそりゃいいよ。でも、そういうことじゃなくて、コツコツ地道に片づけてここまできれいになったの。片付けってのは地道な作業なの!」と怒られました。

 

コツコツ地道に片付けをできるってのは、すっごい才能で、私にとってはやっぱり杏奈は魔法使いです。

 

魔法ではなく努力で片付いた家に、父が無事に帰ってこれるよう願いながら、今日も掃除を続けます。

 

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ピアと夜中に海辺近くの公園で散歩しています