食べる、つくる、育てる

「料理をつくる」ことに長年コンプレックスがありました。

 

料理というと、”手作りのあったかい食事を家族で囲んで食べる”といった画が浮かび、そこに自分は触れられっこないというねじれた気持ちがくすぶっていました。

 

若い頃の食への無関心さは、思い返すと尋常でないレベルでした。

大学1年の夏休み、食材を買いにいくのを面倒に感じ、スイカ3つ買ってきて、3日間スイカだけ食べ続けたところ、下痢嘔吐で寝込みました。(今振り返ると電解質異常があったに違いない。)

大学生で、医学部再受験の勉強をしていた時には、空いている近所のマクドナルドに通いつめました。朝昼晩と3食をマクドナルドで食べ続けた結果、1か月経った頃に味覚障害が出現し、オレンジジュース(もちろんマクドナルドで購入)を飲むだけで舌がピリピリするようになり、にきびが異常に増えました。これはまずいと思い、マクドナルドに通うのをやめました。(それから数年後、同じような内容が映画化されて、映画にできるようなチャレンジをしていたのかと反省しました)

医師になった後にも食生活は改善されず、初期研修医時代は納豆うどんを1回作ったきりで、冷蔵庫の電源を抜いて箱として使用してました。また100円均一のメロンクリームパンを気に入って、販売停止になるまでの1年半ほど毎朝食べ続けていました。患者さんに栄養指導できるような生活ではありませんでした・・・。

 

自分をケアするということを身につけられていなかったのだと思います。

 

食を改めようと思ったのは病気を患ったことがきっかけで、料理コンプレックスをぶち壊してくれたのは平野レミさんでした。

料理研究家ではなく料理愛好家と名乗るレミさんの、作る過程はどうであれ食べておいしければOK!という精神でユーモアたっぷりに美味しそうな料理を作る姿をテレビで見て衝撃を受けました。そのレシピなら面白そうだし取り組めるかもと、料理を始めることができました。

(レミさんはホームページで初心者でも難しくなく取り組め、食べたら美味しいというレシピを惜しげもなく無料で公開されてるので、料理にチャレンジしてみたい方にはとってもお勧めです。https://remy.jp/

 

料理に取り組み始めたものの、仕事は忙しく、どう時短で料理を続けるかと考えていたときに、杏奈と付き合い始めました。杏奈と電気屋に行った際、シャープのヘルシオという材料を入れておくと料理を作ってくれる家電を見つけて、「これすごい便利らしいよ!」と説明をしたところ、「いや、そんなの楽しくないじゃん。作る過程も楽しみたいよ。そんな機械を買うくらい忙しいなら、働き方の方を考えるわ」と言われて終わりました。

 

確かに、、、、その言葉は胸に刺さる、、、、。

 

そう言い放った杏奈も料理を始めたのはコロナ禍になってからとのこと。コロナ禍で外に出かけることもあまりできず、2人で色んな料理に挑戦するようになりました。

ヨーグルト作り、味噌作り、納豆作り、醤油作り(キットを買って混ぜてるだけ)、パン作り、キムチ作り・・・。発酵食品ばっかりだ!豆乳と豆腐も作ってみました。

 

冷蔵庫を箱にしていた私でも、やってみればできました。料理はキラキラしたものとまぶしく感じていましたが、私は料理実験ノートをつけていて、現場は全くキラキラしていません。

 

さらに最近は、「食材を作る」ということにも関心が向き、庭にレイズドベットという木で作った枠を設置し、小さな小さな畑を作り始めました。今はカブ、ネギ、春菊、ホウレンソウを育てています。

自分たちで野菜を育てるようになってから、皮や芯を捨てるのがもったいなく感じるようになり、ほとんど捨てることなく食べるようになりました。(捨てる部分は、コンポストで堆肥にしていますが、これについては後日また書きます)

 

育てる、作る、食べる。この流れを経験してみると、食事をおろそかにするということが難しくなりました。勝手に自分の中に作り上げてしまっていたコンプレックスをぶち壊してくれたレミさんに感謝しつつ、料理がキラキラまぶしく見える人には料理実験ノートをつけ実験だと思って取り組んでみることをお勧めいたします。一歩踏み出すだけで豊かで楽しい世界がそこには広がっています。

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裏庭の小さなレイズドベット

 

最後に、怖がり屋で机の下に逃げがちなピアちゃんです。

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1人避難訓練をするピアちゃん