働くこととお金、そしてコミュニティについて考えていること

ここ数か月の間に、衝撃的な出会いが2つありました。

その出会いを通して、働くことと、その対価としてのお金ということについて考えが揺さぶられています。今も揺さぶられている最中で、コミュニティということについても考え始めました。着地点は見えていませんが、私にとってすごく大切なことだと感じているので、書いてみることにしました。

 

その1、ちばわんのボランティアさん(https://chibawan.net/

今、我が家にいるピアは、千葉県の沿岸で保護されて愛護センターに収容されました。

そこからちばわんのスタッフの方が引き出しをし、さらにまた別のスタッフの方が飼い主が見つかるまで家で一緒に暮らしていたと伺いました。

正式に飼い主になるまでに、メールのやり取りがあり、一度お見合いがあり、1か月間のトライアル期間がありました。

お見合いの時には、ピアをうちまで車で運んでくださり、私達の不安を聞いて必要なことを説明してくださいました。そこから一旦はピアを連れて帰り、私達の受け入れ準備(脱走防止のゲートや名前入りの首輪など)ができたところで、またうちまで来てくださり、トライアルと正式譲渡までの説明をとても丁寧にしてくださいました。

2回とも我が家での滞在時間はきっかり1時間で、必要なことをすべて確認し伝えてくださり、杏奈と二人で、ものすごいプロフェッショナルな方だったねと驚きました。

そのスタッフの方は、常に2匹の犬を預かっていて、譲渡が決まると、また次の犬を預かるとのことでした。

こういった活動を無償で続けている方々がいるということに心底びっくりし、少し世界観が変わった感覚さえありました。(ちばわんさんの収支はHPで公開されています)

 

その2、Bamboo Village Farmの竹村さん(Bamboo Village Farm

先日、杏奈の小学校の同級生の竹村さんとお話する機会がありました。

竹村さんは出身地の町田市で無農薬、有機の農業に取り組んでいる方です。

話の最後に「これから収穫に行くけど、来てみる?」と言われ、「行く!行きたい!」と2つ返事で農園にお邪魔してきました。

農園には従業員ではないボランティアの方があちこちにいて、自立していろいろと作業をしていました。(苗を植える、竹村さんが伝えた内容のものを収穫するなど)

他県から手伝うために毎週やってくる方もいて、年間延べ2000名の方がボランティアとして働いているとのこと!!!!

杏奈と私は使い物になりませんでしたが、一応収穫のお手伝いをさせてもらい、帰りには量り売りで野菜を買い、夕飯にはすっごく美味しい蒸し野菜を食べられました。(のらぼう菜を初めて食べました)

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竹村さんの農園の一つ

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収穫した菜の花

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その夜の夕飯



竹村さんは、土づくり、種の植え付け、苗作り、収穫、販売先との交渉、配送、補助金の申請などをすべて一人でやってきて、最近従業員を雇えるようになったとのこと。作業がすっごく多岐にわたっていて、この作業を1年中1人でやってきたの?!とびっくりしました。ボランティアの方がいなかったら仕事はとても回らないとのことでした。

無償で延べ2000人もの人が働いている竹村さんの農園は、まさに1つのコミュニティ。ボランティアに来ていた方にお話を聞いたところ、そこに集まるモチベーションはそれぞれだけれど、有機農業に興味があったり、町田で有機野菜を作っているその場を存続させたい気持ちがあったり(あんまり大変なので竹村さんは農業を辞めることを何度も考えたことがあるそうです)、竹村さんを応援したいという人もいるとのことでした。

またも、すっごく大切なことに触れているような感覚があり、心がざわざわとしました。その場で、野菜の定期購入のお願いをして、帰ってきました。(野菜販売は口コミでのみ対応しているとのことでした)

 

その3、私の場合

私はLGBTQの活動を始めたときに、このことで承認欲求を満たすようになったり、お金を稼ぐようになったりすると、何かを見失う可能性があるかもしれないと自分に対して感じました。私は医師かつLGBTQ当事者として活動しているので、生活のための収入は医師としての仕事から得て、LGBTQに関することで手元に入ったお金はすべて寄付する、またはLGBTQに関することに使うことに決めました。その結果、お金をたくさんいただいても、逆に無償でも、自分がやるべきだと感じてることに集中して取り組めるようになりました(弱い人間なのです)。今は、一般社団法人にじいろドクターズという法人を仲間と立ち上げることができたので、基本的にLGBTQに関する活動の報酬は法人に入り、お金のことは気にせずに働いています。

 

その一方で、LGBTQの活動家の方達と関わるようになった時に、かなり多くの人が手弁当で活動していて、しかもそういった負担が一部の人に集中していて、これは持続可能でないと感じたのも事実です。講演会で当事者としてお話するのであれば、その時間と労力に対する対価がきちんと払われるようにしていきたいと強く感じ、自分が企画する際にはそのようなシステムにするよう努めています。

 

また、寄付やボランティアに頼らずに、持続可能な形にするために利益も生み出しつつ社会貢献をするという社会起業家(socia-enterprenuer)の若者たちの映画 ザ・ニュー・ブリード|cinemo を見て、活動を長く続けたり、広めていくには、利益を生み出すことも重要だとも感じました。

 

ちばわんさんや、竹村さんとの出会いにより、働くことをお金とを常に結びつけてしまうと、見失ってしまうことがあるのだと知りました。

農業などが身近にあったり、地域のコミュニティが密なところでは当たり前のことかもしれませんが、都会育ちで、近所との付き合いが希薄だった私には、かなりのインパクトがあった出来事です。

 

自分の”お金”のためではなく、コミュニティや社会のための仕事をしていくことで、資本主義社会によって失われたコミュニティの力を取り戻し、エンパワーメントして、そして社会のスティグマを壊していく、そんな方向でいろんな人と一緒に協働して何かできないか、できることがあるんじゃないか、最近は頭の中がずっとグルグルしています。

 

LGBTQのことも、環境問題のことも、SDH(健康の社会的決定要因、https://yoshidayoyo.hatenablog.com/entry/2022/01/06/085105を参照)のことも、メンタルヘルスことも、このことと関係があって、一つずつじゃなくて、絡み合っているところで、できることがあるような気がしている、そんな感じなのです。

 

漠然としていますが、そんなわけで、働くこととお金のこと。そして、コミュニティのこと。

 

結論はなーんにも出ていませんが、オープンマインドでいろんなことに取り組んで、いろんな人と関わっていきたいと思います。