ただでもらったグレープフルーツから考えるフードロス

「フードロスを削減するためにスーパーでは手前の商品から買うようにしてるよ」

そんなことを友人から聞いた数年前。

”そうは言っても、牛乳は飲み切るのに時間がかかるし、いつ食べるか分からない肉類はなるべく長くもつ方がいいでしょ。短い賞味期限のものを買って結局ダメにしたら、それこそフードロスになる” と心の中で呟いて、私の購買行動はまったく変わりませんでした。皮の黒くなったバナナは買わず、傷ついている野菜も選別して買わないようにしていました。

 

杏奈と一緒に暮らし始めた頃に、喧嘩になったこともありました。賞味期限の過ぎた加工食品をゴミ箱に捨てたときのやり取りです。

 

杏奈「ねえ、何でこれ袋も空けずに捨ててあるの??」

私「賞味期限過ぎたから捨てたよ~」

杏奈「え?過ぎたって言っても一日でしょ。中身確認したの?」

私「ううん。私、お腹が弱いから、賞味期限過ぎたものは食べないことにしてるの」

杏奈「中身も確認しないで?」

私「うん。だって賞味期限過ぎてるじゃん。」

杏奈「自分の五感をまったく使わずに、印刷された数字で物事を判断するなんて馬鹿みたいだと思わない?!あきれたもんだ!」

 

そう言って杏奈さんは、ゴミ箱に袋ごと捨てた食品を取り出し、匂いを嗅いで、「ほら、まったく問題ないよ」と怒りながら食べていました。

 

そこから教育され、今ではスーパーに行くと、まずお買い得コーナーを見て使える物がないかを確認する習慣がつきました。皮が黒くなったバナナを買わないようにしていたというのは今となってはかなり謎な行動だったと感じており、お買い得コーナーで半額になっているバナナは外の皮はちょっと黒くても、中身は傷んでないことがほとんどで、皮全部がまだ黄色いバナナよりも食べ頃で、買った日からすぐに美味しく食べられることを知りました。

 

そして、先日、近所の八百屋で衝撃的なことがありました。

会計を終えた後、レジの横に「無料です。好きなだけどうぞ」とグレープフルーツが山のように積んでありました。どのグレープフルーツも少し茶色くなっているところがありました。

ほんとに無料なの?と不思議に思い、お店の人に聞いてみると、傷んでいるところがあって市場で捨てようとしていたものを、捨てるんであればともらってきたので無料で配っています、こういった商品は買ってもらえないから値段はつけられないんですよ、ジュースにすれば食べられると思いますとのことでした。

杏奈は「え~、ほんとは全部もらいたいところだけど・・・」と悩んでいましたが、出かける途中に八百屋に寄ったので、グレープフルーツをたくさん持っての移動は無理だと判断し、3個いただきました。

 

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ただでもらったグレープフルーツ

 

翌日、ジュースにするかとむいてみたところ・・・・え?中身は全く傷んでない。

そして食べてみたところ・・・・すんごい美味しい!むしろ、こないだ他の店で120円で買ったのより、ずっと美味しい!

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むいてみたら、傷んでなかった

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むいてみたら、すごく美味しかった

3個じゃなくて、もっともらえばよかった!!!

(ただでもらったのに、もっともらえばよかったと思う欲って怖いですねぇ。)

ものすごく美味しいグレープフルーツを前に、今までの自分の購買行動について考えさせられました。私のように少しでも傷んでいるところがある商品は買わない。そういう消費者が、こんなに美味しいグレープフルーツを市場で廃棄させているのだなぁと。

 

農林水産省によると、日本の国民1人あたりのフードロスは年間45kgで、年間1人当たりのコメの消費量53kgに近いと紹介されています。そのうち、46%が家庭におけるフードロスとのことです。

杏奈と喧嘩をしたときは、正直なところフードロスは他人事でした。

グレープフルーツに教えもらったことを忘れずに、少しずつですが消費者として学んでいきたいと思います。